2022年5月27日発売のまんがグリム童話2022年7月号掲載「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」74話についてネタバレです。
【前回のあらすじ】
公三郎の家で肩身の狭い思いをしながら療養するチヌ。
曖昧な態度の公三郎に不安が募る日々を送ります。
そんな中、突然チヌの元へ栄太がやってきました。
目次
声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~74話ネタバレ
大晦日の夜、チヌが窓を開けると、そこに栄太が立っていました。
チヌは驚きながら、早く上がってと言おうとしますが、たまきのことを思い出し、口をつぐみます。
そんな彼女に、ただ顔を見たかっただけだから構わないという栄太。
そして栄太は病院に行ったときはチヌがグッタリしていたため、死ななくてよかったと安心しながら、彼女の手を握ります。
するとチヌは泣きながら、ごめんと謝ります。
あの時チヌは自分の命を考えずに公三郎を庇って重傷を負いました。
つまりそれはチヌが公三郎を選んで、栄太を選ばなかったということなのです。
それでも栄太はチヌが生きていてくれるだけでいいと優しく声をかけます。
しかし一緒にチヌの島へ行きたかったと、二ッと笑いながら話す栄太。
さらに栄太が何か話そうとした時、チヌの背後からカタンと物音が聞こえ、チヌはドキッとして青ざめます。
その様子を見た栄太は、彼女に別れを告げて去っていきました。
そして元旦。
本宅から届いたおせちやおもちが出されますが、チヌとたまきは心ここにあらずな様子。
公三郎は親戚づきあいのため、今日明日は顔を出せないようです。
キヨはお正月らしい遊びをしようと提案しますが、彼女たちは休むと言って部屋に戻ってしまいました。
そして部屋に戻ったチヌが、栄太のことがバレてなくてホッとする一方、たまきも兄の圭哉のことがバレてなかったことに安心していました。
数日前、たまきは家を出た圭哉と10年ぶりに再会しました。
とあるところでたまきを見かけた圭哉は、彼女の後をつけていたらしく、立派な身なりだったので金をたかろうと考えたようです。
そんな彼に情けないと言い放つたまき。
あの人は一緒じゃないのかと問いかけるたまきに、圭哉はあの時の女は自分の金がなくなったら、さっさと消えたと答えます。
しかし家中の金をさらって出ていった圭哉は、家に戻ることもできず、10年経った今は日雇い人夫に落ちぶれているのだとか。
そして圭哉は明晩また来るため、金を用意しておけと言って、去って行きました。
たまきはあんな様となった圭哉のことを誰にも言えませんでした。
そのため翌晩、たまきは家の前で圭哉を待ちました。
すると圭哉が現れ、金は持ってきたかと彼女に尋ねます。
しかしたまきは、お金は母に預けていて持っていないのだと答え、代わりに留学の時に母がお守りにくれた家の宝物を彼に渡しました。
圭哉はそれを受け取りながら、本当は自分が留学するはずだったと恨み言を言い始めます。
昔、彼は英語の個人授業を受けていましたが、そばでそれを聞いていたたまきの方があっという間に英語を覚えてしまったようです。
すると教師の目の色が変わり、圭哉は留学の選考から漏れて出世の夢が崩れてしまいました。
一方のたまきは女子選考枠に受かり、圭哉は8つ下の妹に負けて屈辱を味わいました。
憂さ晴らしにと手を出した女と深い間柄になった圭哉は、駆け落ちついでに留学費用も掻っ攫ったのですが、結局たまきは若水家に留学費用を出してもらいアメリカに渡りました。
たまきは留学から帰った後も、その若水家と縁談の話が持ち上がっており、圭哉はどこまでうまく立ち回りやがるんだと、怪訝な表情で吐き捨てます。
そして実は彼が帰国したたまきを見かけたのは、横浜桟橋だったようです。
圭哉はそこで港の貨物を積み下ろす仕事をして働いていました。
すると船から綺麗な恰好をしたたまきが降りてきて、民衆に万歳三唱されていたのです。
偶然その姿を見てしまった圭哉は、なぜ男の自分がこんな有様で、女のたまきがもてはやされているのかと惨めな気持ちになりました。
圭哉の本当の目的は、自分の運をかすめ取るたまきを引きずり下ろすことらしく、今はまだ金づるになってもらうのが得策だと言います。
若水家と縁を結んでもっと太い金づるになるも良し、縁談が壊れて独り身になっても、たまきを遊郭へ売り飛ばすことも考えているという圭哉。
女は家畜と同じに持ち主の都合で売っていいと日本国が認めているのだという圭哉の言葉に、たまきはめまいがして膝をつきました。
たまきはウィンズリー大学で研究を続け、才媛と謳われた自分が「女」というだけでチヌたちと一緒にされたことに憤りを感じました。
1月3日、どうしても栄太のことが気になったチヌは散歩に出かけると言って、歩いて東陽楼に向かいました。
隣町の東陽楼までどれくらいかかるか分からなかったものの、何とかなるだろうと気楽に考えるチヌ。
しかし途中で道に迷ってしまい、足は水ぶくれができて、天気模様も怪しくなってきました。
チヌがどうしようと途方に暮れていた時、公三郎が息を切らして彼女の元へとやってきました。
公三郎の姿を見た瞬間、ホッとして涙を流すチヌ。
公三郎が3日ぶりに借家を訪ねたら、キヨが「チヌちゃんが出て行った」と慌てていたようです。
チヌは東陽楼へ行くと書置きをしていたらしく、それを見た公三郎は勘を働かせて一番近い道筋を追ってきたのだとか。
そしてチヌは公三郎におんぶされながら、東陽楼へと向かいます。
公三郎の体の熱がチヌの体に伝わり、チヌはドキドキして胸が苦しくなりました。
実はこの道は傷を負ったチヌを運んだ道だと公三郎から聞いたチヌは、そげなご迷惑を!?と驚きます。
しかし公三郎は迷惑をかけたのは自分の方だと言い、「回復したチヌちゃんを背負っていけるんだ。こんなうれしいことはない」と話しました。
そんな公三郎の言葉を聞いたチヌは、思わずギュッと彼の背中に抱き着きます。
チヌはここのところずっと溜まっていたわだかまりが、公三郎の温かさで溶けていきました。
公三郎はたまきのことでチヌに嫌な思いもさせていただろうと話し始めますが、チヌはいつの間にか眠っていました。
そしてチヌが目を覚ますと、東陽楼に到着していました。
しかも東陽楼の前で栄太がみんなに送り出されて、どこかに旅だとうとしています。
そんな彼にチヌは声をかけました。
声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~74話感想
公三郎のおかげでチヌのわだかまりもなくなったようで良かったです。
しかし栄太は東陽楼を離れるのでしょうか?
この後の展開が気になりますね。
次回の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」75話が掲載されるまんがグリム童話2022年8月号は6月29日発売です。
声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~75話ネタバレはこちら