日本国内でも多くのファンのいるNBA。誰もが知る米国で最もホットなプロバスケットボールのリーグ戦ですが、今シーズンは10月24日からスタートします。そして、そのシーンを盛り上げくれるのが各選手が作り出す記録です。中でも注目されるのがトリプル・ダブル達成ランキングNBA史上でトップ10入りしている「二コラ・ヨキッチ(Nikola Jokic)」でしょう。
毎日のようにスポーツ情報メディアを賑わせている二コラは、名門デンバー・ナゲッツに所属しているセルビア出身の選手。愛称「ジョーカー」で親しまれており、数々の輝かしいタイトルをものにしています。NBA ブックメーカー オッズでも個人選手を対象としたベッティングマーケットで大人気のプレイヤーの一人で、今季もデンバー・ナゲッツでの活躍に期待が高まっています。
ここではNBA2023/24シーズンにおいて、デンバー・ナゲッツの最新タイトルをどんどん増やす二コラ・ヨキッチの活躍ぶりはどのようなものなのか、またその活躍を止めることができるのか?について迫ります。
二コラ・ヨキッチを止めることはできない
今回の記事のお題目通り、NBA2023/24シーズンでタイトルを倍増する二コラ・ヨキッチを止められるか?という点についてお話しましょう。多くのメディアで語られている答えは「二コラを止められる人、チームはいない」ということなのです。なぜなら、それは二コラが歴史を作るスーパーセンターだからです。
211㎝の長身/ハイアーチジャンパーに敵なし
二コラは、とにかく何もかもが高いのです。例えば、ボールを手にした時のハイアーチジャンパーが驚くほど高く、ボールを奪うことがかなり困難だと言います。211cmの超長身からゴールを狙うスタンスを見ても、周囲にプレイヤーを寄せ付けない雰囲気がありますが、それに加えて129キロという逞しい体格で走りこむスピードにも勢いと力強さがあります。
もっとも、記憶の新しい2022年5月には、二コラ・ヨキッチは若干27歳で通算1万得点を突破し、NBA史上最も若くして5,000リバウンド、3,000アシストを華麗にクリアしました。もっと遡れば、NBA2016‐17シーズンでは、初のトリプルダブルを達成し、全リーグ戦を通してトリプルダブルを6回も記録しています。その後、シーズンごとにトリプルダブルを数回決めており、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでタイトルを量産しているのです。この活躍ぶりを見ている限りでは、成功の勢いが止まる気配は全くありません。
フェイダウェイジャンパーを防ぐのは非常に難しい
二コラ・ヨキッチのタイトル倍増を止めることができないのは、そもそも彼の「フェイダウェイジャンパー(Fade away jumper)」を防ぐことが至難の業だからです。
ちなみに、バスケットボールのプレイ技術の一つである「フェイダウェイジャンパー」とは、後方にジャンプしながら打つジャンプシュートのことで、シューターとディフェンダーの間にスペースを確保することで、ショットをブロックしにくくするのが特徴です。
また、フェイダウェイジャンパーは、シューターが自分でリバウンドを取るのが難しいため、ほとんどのプレイヤーはこの技術を苦手とすることが多いと言われています。しかし、一度、テクニックを習得すれば、相手側にとって最もボールを奪いにくい技になり得ます。つまり、最もブロックするのが難しいテクニックとなるため、ディフェンダーの動きを簡単にかわしたり、相手のファウルを奪うことができるのです。
二コラ・ヨキッチを止める可能性があるチームは本当にない?
二コラのタイトル倍増の躍進ぶりは顕著で、どうやっても止めることはできない…そう考えるのが一般的ですが、もしも、その勢いを止めて、タイトル獲得をストップすることができるチームがいるならば、それはボストン・セルティックス、ミルウォーキー・バックス、フェニックス・サンズの3チームでしょう。「誰が」というよりは「チーム」です。
2023年10月中旬の時点で、優勝候補に挙げられているのはデンバー・ナゲッツとなりますが、それを僅差で追う形でこれら3チームの名前が挙がっています。
前述でもお話しましたが、二コラの武器は「ハイアーチジャンパー」と「フェイダウェイジャンパー」です。これをディフェンスするのは非常に難しく、逆に二コラのミスをあおって流れを変えるしかないからです。チーム全体における各ポジションのレベルを分析するならば、ボストン・セルティックスが圧倒的に高いので、二コラのタイトル増加の風向きを変えることができるかもしれません。
二コラ・ヨキッチのプレースタイルをさらに分析
気になる二コラのプレイ‐スタイルをさらに研究してみましょう。
3手先の動きを正確に読み取る力
二コラ・ヨキッチの最大の武器は段違いに高い身長と体格の良さです。もちろん、サイズとパワーのみならず、プロバスケットボール選手としての基礎力の充実度、相手の3手先の動きを潜在的に読み取る能力、ヨーロッパ出身の選手が持つユニークなテクニックなど、これら全てを総合して生まれたのが二コラ・ヨキッチのスキルであり、実力だと言えます。
パス能力が高く、アウトサイドからのシュートも得意
さらに、二コラはバスケットコート内で想像可能なパス・スタイルを数多く習得しており、ディフェンスサイドのプレイヤーを混乱させる技術に長けていると言います。つまり、シュートにつながるパス能力が凄まじく高いとされており、ミスのないボールさばきからスコアリング能力も群を抜いています。
そうとは言いながら、ガチガチのプレイスタイルではなく、あくまで柔軟度の高いステップで様々なポストプレイを見せてくれます。もちろん、ミドルレンジ、アウトサイドからのシュートも得意です。
IQの高いプレーを実現、オフェンスを完全支配する能力がある
どのスポーツでも同じですが、とくにスピード感のあるバスケットは相手の動きを正確に読み取り、それに適したパフォーマンスが求められます。つまり、高度な動体視力とIQの高さが求められるわけですが、二コラはそれを修得し、プレイメーカー/スコアラーの両方でオフェンスを完全支配できます。これが彼が誇る最大の強みです。
211cmの長身から振りかざすドリブル、そしてゴールに向って突進する攻撃力は、どの相手チームも阻止することが難しいと言われています。そして、その力に押されて相手の動きが崩れることを、二コラ自身が知っているのです。常に歴史を刻むスーパースターは、最高の笑顔で次々にタイトルを増やしています。
謙虚で誠実なパーソナリティも記録更新に貢献
そもそも、二コラ・ヨキッチとはどのような人柄の持ち主なのでしょうか?
彼はNBAの歴史を変え続けているバスケット界の王者ですが、その地位や名声にあぐらをかくことなく、謙虚で誠実なパーソナリティが賞賛されています。自分のために何かをするのではなく、いつも周囲や家族のためにゴールを目指す姿勢を持ち続けているのです。
闘争心を丸出しにしたり、相手を蹴落としたり、そのような仕草は微塵もないのが二コラ流。自分のためだけに、お金を稼ぐために、バスケットボールをプレーするのではなく、いつも心にあるのは「家族」であるとも話しています。数々のNBA史上記録を更新する二コラですが、この勢いを止められないのは、彼が周囲の人のために熱心に勝利を追いかけているからなのでしょう。
2022‐23シリーズ優勝は二コラ・ヨキッチが先導
前シリーズであるNBA2022-23は、歴史的なタイトルを次々と作り上げる二コラを中心に、デンバー・ナゲッツが初優勝を果たしました。最多優勝チームである、強豪ボストン・セルティックス、ロサンゼルス・レイカーズをものともせず、決勝相手のマイアミ・ヒートを4対1で抑えて感動的なフィナーレを見せてくれました。もちろん、この時のMVPは二コラ・ヨキッチです。
2023‐24シリーズでもデンバー・ナゲッツは上位に食い込む可能性がかなり高いです。NBA ブックメーカー オッズ(アウトライト)をチェックしてみると、デンバーナゲッツはトップの5倍、続いてボストン・セルティックスの6倍。続いてミルウォーキー・バックスの7倍、そしてフェニックス・サンズの7.5倍となります。前回、デンバー・ナゲッツと熱戦を繰り広げたマイアミ・ヒートは11倍です。各試合の展開が楽しみになってきたのではないでしょうか?
余談になりますが、デンバー・ナゲッツのチームロゴは、ネイビーブルーをベースに2本のつるはし、そして鉱山のてっぺんとバスケットボールです。デンバー・ナゲッツのユニフォームはまるで、二コラの性格と優勝への確かな道のりを表しているかのようにも思えます。チームはウェスタン・カンファレンス/ノースウェストディビジョンとなりますが、ついにこの地でNBA最高峰として名を上げたのです。
まとめ
先日、NBA2023-24シーズンの試合日程も正式に発表され、いよいよ開幕しようとしています。10月24日の開幕前に全チームが最終チェックを行っていますが、各チームの選手たちは最高のパフォーマンスができるよう、メンタル・フィジカルを調整中です。
ほのぼのした話題としては、デンバー・ナゲッツの緊張感を横目に、強豪クリッパーズの冗談交じりの様子もSNSで伝えられ、ホッとするような和やかなムードも伝えられています。
それでも、やっぱりNBAで最も話題をさらっているトピックはデンバー・ナゲッツの二コラ・ヨキッチの活躍ぶりです。どのNBAチームが二コラ・ヨキッチの記録倍増を止められるのか?こればかりは神のみぞ知る!ということになりますが、二コラが周囲の勢いに飲まれず、自分の実力を最大限に出せることを願いたいですね。
Comments