2020年12月29日発売のまんがグリム童話2月号掲載の「声なきものの唄~
瀬戸内の女郎小屋~」についてネタバレをまとめました。
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【前回のあらすじ】
千鳥が行方を捜している姉のお香は、炭鉱所近くの女郎小屋にいました。
女郎小屋を転々とする中で客に顔を殴られ、美しかったお香は大きく変わっていました。
炭鉱所のテツに抱かれ首を絞められても、なぜか喜ぶお香でした。
どん底の状態になっても、お香は瀬島が迎えに来てくれることを願うのでした。
千鳥は旦那候補の男たちを上手にもてなしながらも、空虚な気持ちを抱えていました。
早みどりは元夫の利市に凌辱されていることを、公三郎に知られてしまいます。
公三郎は早みどりを身請けを楼主に宣言するのでした。
目次
声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~57話ネタバレ!
早みどりを身請けすると宣言した公三郎は、怖ろしいほど冷静でした。
もの静かながら、圧倒する公三郎の迫力に楼主はタジタジになってしまいます。
「離婚と仰っても、いろいろと手続きが必要ですし、あの夫が納得するとは……」
「それはあなたが気にする必要はない。それとも利市に同情でも?」
公三郎の睨みに、楼主は慌てていいわけをするのでした。
公三郎は布団の中に隠れている早みどりに優しく声をかけます。
「気付いてやれなくて悪かった。離縁させて君を身請けする。僕と結婚しよう」
驚きの発言に、早みどりは布団から跳び起きます。
公三郎は早みどりを優しく抱きしめ、「何も心配はいらない」と話します。
お付きのおツネは大興奮ですが、早みどりは呆然としていました。
(若様と結婚。でもうちは身代わりや。結婚しても、一生片思いやなぁ……)
それは早みどりだけが抱える孤独でした。
楼主から離婚のことを聞かされた利市は、激怒して猛反発します。
「身請けされたら、わしには金が入らんくなる!女房は亭主のために働くもんやろ!」
「おまえみたいなクズは山ほど見てきたわ。救われんのぅ……」
楼主は娘や女房を骨の髄までしゃぶる最低な男たちを山ほど見てきたのです。
「わしは絶対、受け入れんからな!」
利市は捨て台詞を吐いて走っていきました。
東陽楼の男手として働く栄太は、下働きの少女おイトに慕われていました。
奉公に来たばかりで怖い思いをしそうな時に救われたことがきっかけでした。
おイトは見た目も可愛らしく、優しい少女でした。
しかし栄太は興味がないようで、全く喜んでいませんでした。
千鳥は栄太とおイトのことを偶然聞いてしまい、なんとなく気になってしまいます。
自分の部屋に戻った千鳥は、飼い猫と遊びますが、突然猫を抱きしめます。
「栄太だけはずっとうちの側にいて、特別な目でみてくれてるもんと…。アホやな」
千鳥にとって栄太は本当の弟のような存在でした。
「姉さんは見つからんし、若様も……。うちにはずっと側にいてくれる人がおらん」
千鳥はいつのまにか泣いていました。
「ええなぁ、うちも欲しい。ずっと側にいてくれる人いたら、どれだけ幸せやろ?」
1人泣き崩れる千鳥を、お付きの美緒は隣から見守ることしかできません。
鬱憤がたまった美緒は、巴大夫のところへ行き、お菓子を食べながら愚痴るのでした。
「栄太ごときが、千鳥姐さんを泣かすなんてありえんわ!」
「菓子を食いながら、ようそれだけ愚痴れるもんやなぁ」
巴大夫は呆れた顔をしています。
「同じ見世に勤める者同士は、一緒にはなれん定めや。見世を変えてもかわらん」
巴大夫は優しく微笑みかけます。
「人に惚れるってのは、天から降ってくる。恋の切なさは人生の妙や。味おうてかんと」
恋などしたことのない美緒は、「そんなのいらん」とつぶやくのでした。
千鳥の部屋には、おイトが繕い物をもってやってきました。
「千鳥大夫様、襦袢できあがりましてごぜぇます」
震えるおイトに、千鳥は栄太を想う少女と知りながらも、優しく対応します。
「千鳥様はおえらい方や聞きました。そげな優しい言葉もらえて、うれしいだす!」
おイトは笑顔で礼を言うと、静かに部屋を去って行きますが、すぐに転んでしまいます。
おイトはドジな子ではありましたが、とても良い子だと思う千鳥でした。
(うちみたいな山ほどの男に抱かれる女とは違うんや……)
言いようのない惨めさを感じる千鳥の元に、栄太が火鉢をもって現れます。
「おイトちゃん、いい子やな。結婚したらええんとちゃう?お似合いや」
「……それ、本気で言うとるか、チヌ(千鳥)」
栄太の言葉に驚き、千鳥が顔をあげた瞬間、栄太は口づけをして去っていきました。
思わぬ口づけに、赤面する千鳥と栄太でした。
とある料亭の水鳥の間では、男たちの楽しげな声が聞こえてきます。
「この鳥の掛け軸は、どげなもんですかの?」
下品な笑い声をあげているのは、警察署長の中林でした。
もてなしているのは若水公三郎、そして東陽楼の楼主も同席しています。
「浮き寝の鳥。夫婦仲の象徴であるおしどりが、ひとり寝する寂しさをあらわしてます」
「それはまたイキな掛け軸ですのぅ!」
中林は風流なことは何もわからない様子ですが、公三郎は顔色を変えません。
「矢津の若様に接待してもらえるとは思いませなんだ」
芸妓たちともたっぷり遊び、上機嫌の中林に公三郎は本題をもちかけます。
「噂には聞いとります。たいそう気に入っとる女郎がおるとか。そのことですかね?」
中林は意外にも察しが良く、なぜ接待されているのか理解している様子です。
「その女郎と夫を穏便に離縁させたいと。普通なら夫に身請け金を渡しますわな」
「その夫にはお金を渡したくないのです。女の親族がお金を受け取れるようにしたい」
「それは納得せんでしょな」
「離縁状が役所から発行されても、『詐欺だ、偽物だ』などと叫ぶかもしれません」
「なるほど!警察としては離縁状が本物であると太鼓判を押せばいわけですな」
中林は酔っぱらっていますが、頭は良く回る様子です。
「実は良い硯が手に入りました。書道家でもあられる中林さんにどうかと思いまして」
立派な硯に中林はニヤリと笑い、さらに中林を支援するという申し出に大喜びです。
話がまとまり、中林は上機嫌で帰っていきました。
「いっそ亭主に手切れ金を渡したほうがええのでは?」
「あの男に金は渡したくないと言ったでしょう?」
公三郎は亡くなった恋人を手籠めにした養父と、早みどりの亭主を重ねているようです。
「僕は家はこのぐらい平気でやりますよ」
自嘲気味に笑う公三郎を、楼主はため息をこぼしながら呟きます。
「それほどの愛でしたか。おしどりは一羽になってしまいましたなぁ」
「何か言いましたか?」
楼主は頭を下げると、公三郎の前から去っていきました。
料亭を出たところには、浮浪者のような男たちが3人集まっていました。
「あれは矢津の警察署長、そしてあれは矢津の若様や。あの方は金払いええで!」
浮浪者風の男の中には、早みどりの夫利市が隠れていて、公三郎を睨むのでした。
声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~を無料で読む方法を徹底調査!
声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~57話感想!
それぞれの片思いが切ない回でした。
公三郎は不幸な境遇の早みどりを、亡き恋人にますます重ねているようです。
早みどりと結婚するとまで言った公三郎ですが、はたして幸せになれるのでしょうか?
次回の声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~が掲載されるまんがグリム童話3月号は
1月29日に発売されます。